ソニーの携帯機
ソニーは携帯機には力を入れていない。
近い将来に生産終了となって恐らくソニーは携帯機市場から撤退することだろう。
この私は据置機より携帯機のほうが圧倒的に大好きなのだ。
外出先に持っていくわけではない。あくまで自宅内で使っている。それでも携帯機のほうが好きである。理由は簡単だ。布団のなかで使えるからだ。
私は携帯機をたくさん集めてきた。小型軽量好きの血が騒ぐためだった。
この記事では歴代のソニー携帯機の進化の流れを追っていきたい。
手前側の白いPSP1000
奥側が水色のPSP2000
正面からだとほとんど区別がつかない。
上部を見ると2箇所ちがいがある。
白いPSP1000だと、右側にディスクトレイ開閉レバーがあり、左側に赤外線通信ポートがある。
青いPSP2000だと、右側開閉レバーは廃止され、左側の赤外線通信も廃止された。代わりに左側にWiFi無線通信スイッチがついた。
なお、PSP1000におけるWiFi無線通信スイッチは左側側面下部である。
メモリカード挿入口は、双方とも左側側面だが
PSP1000が下部寄りで、
PSP2000だと上部寄りにある。
ディスクトレイ開閉だが
PSP1000はツメがかかるため手では開けられない。上部にある開閉レバーで開ける。また開閉角度も最低限の隙間だけだ。
PSP2000では機構を省略しツメを廃止。手でパカッと開けることとなった。
開閉角度はかなり広く開くので、ディスク挿入がやりやすくなった。
以上が外観の変化だが、
内部はさらに大きく進化している。
最大の変化はRAMメモリ倍増である。ゲーム機もパソコン同様にRAMメモリで計算処理するが
PSP1000だと、RAMが32MB だったが
PSP2000だと、RAMが64MB へ倍増した。
それ以外にも多くの電子回路を高性能な新型に更新しているので、ゲーム機性能は別次元に格上げされている。
毎度のことだが、ソニー社は最初にごちゃごちゃ多機能を詰め込んだ重厚長大モデルを発売する。
後から不要機能を廃止したより洗練された軽量小型モデルを出すのだ。
奥側が水色のPSP2000
手前側が赤いPSP3000
正面からだとほとんど区別がつかない
外観の違いはボタン形状だけ。
PSP2000だと、半月形状ボタンだが
PSP3000だと、楕円形状ボタンである。
PSP3000はマイナーモデルチェンジなので、外観では変化がない。
違いはむしろ内部構造にある。
AV出力端子からゲーム中の映像音声を出力可能にしたり
発色のいい液晶画面にしたことである。
なのでPSP3000は、発色が良くなったPSP2000といった位置づけだ。
もちろん好き嫌いが別れる変化であって、私などはこの鮮やかな発色が苦手である。
なので私はPSP2000ばかり使う。
(3) PSP GO
持ってるだけで話のネタになる、と言われた異色のPSP GO。
PSP2000と比べてずいぶんと小さいことが分かるだろう。
機体にはスライド式のコントローラーボタンがあって、使用時に引き出すが、
引き出してもなお小型軽量である。
上部には音量ボタン
下部には電源ケーブル差込口がある。
右側面には電源スイッチ
メモリカードだが、PSP2000と比べて、非常に小さい形状になっている。
電源ケーブル差込口は本体下部にあるのだが、これもまたPSPGO専用形状である。他機種との互換性はない。
PSPGOは、PSP用ゲームをプレイする家庭用ゲーム機だが、背面にはディスク挿入口がない。
背面だけでなく本体のどこにもディスクを挿入する口はない。どういうことか?
ダウンロード販売専用ということだ。
PSPGOを使うためには、あらかじめPlaystationNetworkサービスにてアカウント作成しておき、PlaystationStoreからゲーム作品をダウンロード購入しなくてはならない。
ダウンロードしたゲーム作品は本体ストレージか、メモリカードに記録される。
メモリカードが無くても本体ストレージ16GBがあるので当面はそこに。
余裕を持たせるには外部ストレージであるメモリカード(メモリスティックマイクロM2)を追加で。ただし最大で16GBしかなく、値段が高いので多く出回ったのは8GBものだった。
ここで問題が多数ある。
ア) 全てのゲーム作品がダウンロード販売しているわけではない。
イ) PSP2000ですでに所有しているパッケージ販売ゲームディスクが全く使えない。同じゲーム作品なのに、ダウンロード販売で再購入する羽目になる。
ウ) PSPGO容量はそれほど大きくない。本体内蔵16GBに外付最大16GBゆえ規格上の最大では32GBまで。
メモリカードはほとんどの人が8GBを買っていたので16GBと8GBで合計24GBとなる人が多かった。
つまりこれ以上はダウンロード購入できない上限とああなる。せいぜい20作品くらいしか遊べないのか。
エ) 家電量販店からは大不評だった。
ゲーム機をお客さんに売れば、その後も定期的にゲーム作品を買いに来てくれると量販店は期待するものだ。
ところがPSPGOだと機器を売上げたら
しれっきり二度と量販店には来てくれない。あとはダウンロード購入になるからだ。
こんなもの量販店には置けないよ、と不満だらけとなった。
イ)については、すでにパッケージ版ディスクを所有している場合には割引販売となるUMDパスポート割引を導入したのだが
いやそこは割引じゃなくて無料にすべきでしょ、との突っ込みが多かった。
意味がわからない。パッケージ版ディスクを購入した時点で対価を支払い済みなのに、なんで二重課金させるのか?
そんなわけで非常に先進的なPSPGOだったが、残念なことに先進的すぎて世の中からは受け入れてもらえなかった。
短命にて寿命を終える。
なお、持ってる人は知っているが、ハード性能は最高だ。素晴らしい性能と言える。それだけに惜しかった。
(4) VITA 登場
PSPGOの経験から多くを学んだソニーが、次世代機として販売したのが
VITAだった。
まずサイズの違いだが下記をみていただくと、PSPよりひと回り大きいことわかる。
(写真はPSP2000とVITA2000の比較)
大画面高解像としたのだった。
ついでに静電式タッチパネルとなってスマホ同様に画面を触って操作できるようになった。前面タッチパネルだけでなく、背面タッチパネルもついている。
さらにジャイロセンサーまでついている。傾き検知だ。2018年現在はどんなスマホにも搭載され有り難みがないが、VITA登場時にはゲーム機にジャイロセンサーなど高級品だった。
操作ボタンとしては、右ジョイスティックが追加されて左右ジョイスティック対応となった。
内部構造はPSPとは全く違う。性能は格段に上がった次世代機であった。
PSPGOの経験から、ふたたびパッケージ版販売にも対応となっている。
光学ディスクのPSPとは異なり、メモリカートリッジ方式となった。
本体上部にメモリカートリッジ差込口がある。これで量販店も安心してVITAを店頭におけるわけだ。
VITAは、パッケージ版とダウンロード版を両方使えるようになった。
ダウンロード版はPlaystationStoreからの購入となるが、概してダウンロード版のほうが値段が高いことが多い。
おそらくは量販店への配慮なのだろう。
パッケージ版は定価から2〜3割下げた売価で店頭に並んでる訳だが、ダウンロード版だと定価のままである。
一年に何度かあるキャンペーン期間中はダウンロード版のほうがまれに安くなることもある。
ダウンロード版購入した場合は外付けメモリカードに記録される。
ところでPSPGOだと内蔵ストレージが最初から16GBあったが、VITAではどうか?
結論としては内蔵ストレージはない、と言ってよい。ゆえに外付けメモリカードは必須となる。VITA背面の左下あたりにメモリカード差込口がある。
VITA内蔵ストレージだが、正確に言うと
VITA1000 だとゼロ。全く無い。
VITA2000 だと、1GBある。
たったの1GBだけはある。どういうことか???
最初にVITA1000を発売しユーザーの声を聞くと、メモリカード必須がウザいという意見もあったはずだ。
パッケージ版しか買わない主義ならばセーブデータしか記録しないので大容量メモリカードは要らない。
そこでソニーが配慮してVITA2000ではたった1GBだけ内蔵ストレージを作ったという経緯がある。
この1GBの出どころだが非常に面白くて、新たなチップを追加していないらしい。ハッカーがVITA2000をバラバラに分解して解析し限りでは、内蔵ストレージ1GBのための新しいチップが発見できなかった。
怪いのは東芝製4GB不揮発性メモリであって、ここは本来ならファームウェアが使用するのだが、仮にファームウェア領域を3GBまでに制限すれば、1GB余剰ができるよね、ということらしい。
あり得ることだ。VITA2000はコストダウンによる売価引下げをしたのだから、わざわざコストアップするチップ増加など論外だったはずだ。
とにかくVITA2000の内蔵ストレージ1GBではセーブデータしか記録できないので、外付けメモリカード必須です。
(5) VITA 1000 と VITA 2000
奥側が白地に水色の VITA 2000
手前側が黒い VITA 1000
正面からだとほとんど区別がつかない
ボタン形状が異なっている。
VITA1000だと楕円形状
VITA2000だと円形だ。
メモリカード差込口は双方とも背面の左下部あたり。
上部には大きな違いがある。
VITA1000 では、左側がゲームカードリッジ差込口、右側がNTTドコモSIMカード差込口だ。
VITA2000 にはゲームカートリッジ差込口しかない。
下部にも違いがある。電源ケーブル差込口形状が異なる。
VITA1000 だと四角い専用ケーブル (PSPGOとも異なっていてVITA1000専用形状)
VITA2000 だと汎用のmicroUSBケーブルである。
これ以外にある特徴として
VITA1000だと金属多用の高級硬質感。
VITA2000だとプラスチック多用のチープ感。
以上が外観の違いである。
内部構造は大きな異なっている。
ソニー社はいつも重厚長大な多機能モデルを発売し、市場反応から不要機能を削減したより洗練された小型軽量化した廉価版を出す。
VITA1000はあまりに豪華過ぎた。値段が高すぎた。
そこでコストダウンによる販売価格引き下げが必要になった。
まず最初に、VITA1000(3G/WiFi)モデルでは、ネットワーク対戦のために屋外どこでも使えるようにNTTドコモのSIMカード対応があった。
真っ先にこれを廃止した。VITA2000ではWiFi対応のみとなり大きなコストダウンとなった。
次に、液晶画質である。
VITA1000には有機EL液晶だった。
VITA2000ではIPS液晶へとコストダウンさせた
これは大きな変化である。コストダウン効果が非常に大きかったが賛否両論となった。
有機EL液晶は高級品ゆえに発色が素晴らし鮮やかであった。実機で比較しないと分からないだろうが、黒の沈み込みが凄まじい。普通の液晶だと黒といっても暗め灰色なのだが、有機ELだと完全なる黒であった。他の色も原色に近い鮮やかな色再現である。
IPS液晶は廉価版なので発色はやはり劣っている。両者を並べると淡いというか寝ぼけた発色になってしまう。原色のはずが中間色になる感じ。
とにかく必死のコストダウンのおかげでVITA2000の販売価格は大きく下がって売れるようになった。
それでも任天堂よりは高額だったが性能的にはこれ以上下げるには難しいのだろう。
あと最後に。
冒頭に書いたように私は、布団のなか長時間やれるという理由から据置より携帯機を好んでいる。
それは私の好むゲームジャンルがギャルゲーだからだ。
ギャルゲーというのは恋愛ゲームのこと。
詳細を語ると大論文になってしまうので避けるが、かなり長時間プレイなる。だから布団のなかでプレイがありがたいのだ。
長時間プレイする以上、液晶はやや暗めで淡いほうが目が疲れない。
いつだったかVITA1000の有機ELでギャルゲーしたさいは目の奥が死ぬほど痛くなった。
明るく鮮やかな画面は短時間アクションゲームにはいいが、長時間プレイには適さないのだ。
PSP3000液晶は、PSP2000液晶より発色が明るく鮮やかになった。だから私には適さない。
性能が良いことが、必ずしも使いやすいことにつながるわけではない事例である。
ゲームをするユーザーの個々の事情によっては性能を落としたほうが適することもありえるのだ。