【ネタバレあり】メモオフ5(4/4)
メモオフ5 途切れたフィル厶
4/4 サブヒロインルート。
仙道麻尋以外のヒロインはマスターカット(河合春人の視点)しかない。
よって、日名雄介の死の真相は明らかにされないまま仙道麻尋は去っていく。
他ヒロインルートでは、どのルートであっても仙道麻尋は途中退場してしまって、それからは連絡不能になるのだ。
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■日名あすか
1)マスターカット編
エンド クランクイン(BAD)
エンド ファイナルカット(GOOD)
ダブルヒロインとして用意されたのが日名あすかである。
雄介の遺作を仙道麻尋主演で映画撮影するべきか、あすかの気持ちを優先すべきか。
その選択がそのままダブルヒロイン扱いになっている。
日名雄介が死んだあと、自閉症になった日名あすかに話しかけたのはほんの1年前である。
以降の日名あすかは、河合春人を兄の代わりの居場所とみなし積極的に好意を向ける。これを無碍にすれば再び自閉症へと逆戻りするだろう。それゆえ1年間、河合春人は綾園学院高校の後輩としてあるいは親友の妹として接していた。
日名あすかからの好意を河合春人が受け入れないのは2つの理由からだ。
まず、好意はあくまでも兄雄介の代役のたいしての依存症だと分かっている。
次に、小津修司が真剣に日名あすかに恋をしている。
恋が進展するには、河合春人が日名あすかを恋愛対象と認識し、なおかつ友人小津修司と正面から向き合う覚悟が必要があった。
日名あすかは小学生のころ天才子役女優として芸能界にいたが、ある時期から演技ができなくなって引退してしまった。
芸能人日名あすかに期待していた母親はすっかり失望して、いまや母娘の仲は最悪である。
そして兄である日名雄介が死去し、自宅には日名あすかの居場所はなかった。
日名あすかがしきりに河合春人のアパートを訪れては泊めて欲しいとねだるのはこのためである。
河合春人は、日名あすかの気持ちを慮り、なかなか映画撮影に踏み切れなかった。
仙道麻尋は失望し去っていく。ただし日名雄介の台本を残して。
主役を交代しよう。かつて日本中から愛された子役女優がいる。日名あすかを主役として映画撮影をする。
だが、カメラリハーサル中に日名あすかは気を失ってしまう。かつてのトラウマが再発したのだ。
過去のトラウマを乗り越えて、再びカメラの前に立てるかどうか、となる。
5月9日の日名雄介の命日。
日名あすかは、兄の墓の前にたち、
天国の兄から届いた想いを受け取る。
忌まわしいトラウマを消し去り、日名あすかに勇気を与えたのは、日名雄介だった。
■観島香月
1)マスターカット編
エンド 君よさらば(BAD)
エンド 雨に唄えば(BAD)
エンド やさしく愛して(GOOD)
中学生のとき、日名雄介と河合春人はミッキー監督と出会い、映画制作という夢をいだいた。
綾園学院高校へ進学し、2人で映画同好会へ入った。
やがて絵コンテなど細かい演出に長けた小津修司が加わって3人目の仲間となる。
そして最後に、日名雄介の勧誘で観島香月が入会し4人目の仲間となった。
綾園学院高校時代から、観島香月はサブリーダー的存在で、仲間のまとめ役だった。
ふつう監督か主演女優になりたがるものだが、観島香月はかなりの変わり者で、裏方作業が好きだった。制作の進行や、備品手配、スケジュール調整など各種雑用をこのんだ。
せっかく容姿が整っているのだから勿体無いとは思ったものの、長く接していうちに中身がアレなのでまあいいか、となる。
観島香月は、なまじ容姿が整っていたせいで、人間関係を壊してしまった過去がある。
中学生のころ親友が想いを寄せていた少年から告白されてしまったのだ。おかげで親友からは絶交され、仲良しグループは崩壊。
そうした過去から、観島香月はあまりオシャレを好まずラフで動きやすい格好をする。
そして仲間を何より大切にする。
仙道麻尋が電撃来襲してきたとき、真っ先に思ったのは、仲間の結束を最優先することだった。
日名あすかがひどく動揺し、小津修司が嫌悪をあらわにする以上、安易に仙道麻尋の提案には乗れない、と判断したのだった。
しっかり者のお姉さん気質であり、
男たちからナンパされ迷惑がっていた木瀬歩を助けるなどの行動力もある。
後輩である木瀬歩のこともよく面倒を見る。
クールビューティーなできる姐御に思える。
ところが観島香月攻略ルートに乗ると、他ルートでは語られなかったダメダメな側面が表面にでてくる。
意外にポンコツだった。
カレー好きで、朝食カレーうどん、昼食カレーサンド、夜食カレーライスは当たり前。
カレー味の飴玉を常備するわ、自動販売機からは激レアな飲み物であるカレー味炭酸飲料を買ってきては飲み干す。
わあい女の子の手作り料理だと期待したら、やっぱりカレーパスタだった。
観島香月にとって、最優先すべきは仲間である。このため仲間の和を乱す仙道麻尋のことは警戒していた。
日名雄介の死の真相を決して語らない仙道麻尋は、信用できない人物とも判断していた。
ただし、日名雄介が死んで以降、仲間の時が止まってしまい停滞している現状は良しとはしない。
仙道麻尋という外圧を利用して、前へと踏み出すキッカケにできないか?とも画策するわけだ。
仙道麻尋のことは信用できないが、雄介の台本をもとにした映画制作は支持したのだ。
すべては仲間のためではあったが、策士策に溺れる。
思い込みで暴走してしまい、観島香月自らが人間関係を崩壊させてしまう。
日名あすかと小津修司を傷つけ、
仙道麻尋の抱える傷口を無遠慮にえぐりとり
木瀬歩は呆れ果てて去っていってしまう。
残ったのは、観島香月と河合春人の2人だけ。責任を痛感した観島香月はCUM研から身を引いて去ろうとする。
だが、河合春人は観島香月を離さなかった。
俺にはお前が必要だ。
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雨宮瑞穂と早蕨美海のルートは、メインストーリーとはまったく無関係の展開である。
これらのルートに入ると、仙道麻尋は早々に退場して日名雄介の台本で映画をつくるという展開は全く消えてしまう。
その代わり、日名あすかの動向がクローズアップされるようになる。
河合春人+日名あすか+雨宮瑞穂
河合春人+日名あすか+早蕨美海
という登場人物となる。
雨宮瑞穂は、日名あすかがアルバイトをしているファーストフード店の責任者をしている上司である。
早蕨美海は、綾園学院高校で日名あすかと同級生の友人である。
■雨宮瑞穂
1)マスターカット編
エンド 離れた想い(BAD)
エンド 言霊(GOOD)
実家をはなれ一人暮らし。何かとお金が必要なことはご存知だろう。河合春人もまたアルバイトを探していた。日名あすかの紹介で、ファーストフード店でアルバイトをすることになる。
ファーストフード店の責任者(マネージャー役職の社員)が雨宮瑞穂である。
意外にも日名あすかは優秀な店員らしい。
元芸能人でもあり客観的にみて美少女であるためカウンター接客ではお目当てにする客も多数いる。
機械音痴のはずなのに何故か厨房機器の操作はお手の物でキッチン業務もこなせる。
雨宮瑞穂は千羽谷在住らしく、時折出会うことがあった。すごくご近所に住んでいるらしく、何度も出会うことが繰り返され、プライベートでも交流する機会が増えた。
転機となるのは、アルバイト明けの深夜に、ショットバーに飲みに誘われてからである。
河合春人は酔ってしまい記憶が無いが、翌朝気づいたら隣に雨宮瑞穂が寝ていた。
どうやら昨夜は雨宮瑞穂の部屋で寝てしまったらしい。
気が動転し慌てて外に飛び出すと、そこには見慣れた風景があった。オンボロアパート。
雨宮瑞穂の部屋を出たら、自分の部屋のドアが隣にあった。?????????
ここでオンボロアパートの住民を説明する。
101号室 雨宮瑞穂
102号室 河合春人
103号室 稲穂信
203号室 鷺沢一蹴
なんと、河合春人は雨宮瑞穂の隣室に住んでいたわけだ。薄い壁越しにプライバシー筒抜けだったわけだ。
その後は夜になると逢瀬を重ね、関係が深まってしまう。
日名あすかと雨宮瑞穂とが険悪になる。
雨宮瑞穂は未亡人だった。
かつての夫、雨宮耕作はすでに死去している。亡き夫が若い頃住んでいたオンボロアパート。若い頃、耕作と瑞穂はここで出会った想い出の場所だった。
河合春人は、亡き夫雨宮耕作に似ているらしい。それを聞いて河合春人は激昂する。
オレは代用品じゃない。
それでも雨宮瑞穂を受け入れる。
迷っていた河合春人が心を定めたとき、皮肉にも運命は2人を引き裂いてしまう。
■早蕨美海
1)マスターカット編
エンド 最後のワガママ(BAD)
エンド 小さな証(GOOD)
実家をはなれ一人暮らし。何かとお金が必要なことはご存知だろう。河合春人もまたアルバイトを探していた。
母親から、従姉妹の家庭教師をしてみないか?との連絡を受ける。
伯母(母親の妹)の娘が、綾園学院高校3年であり、家庭教師を頼みたいらしい。
従姉妹とはいえ中学生のころに顔をあわせただけで、交流などなかった。
こうして家庭教師を始めたが、従姉妹である早蕨美海ちゃんは、日名あすかの同級生であり友人であった。
こっそり小説を書いており、これは映画の脚本に使えるとCUM研メンバーからも歓迎される。
仙道麻尋は早々に去り姿を消した。
雄介の遺作台本は残念だが、代わりに早蕨美海の台本をもとに映画をつくろう、となる。
万事がうまく回るかに思えたが
伯母の態度がおかしい。問い詰めると早蕨美海がかかえる病気について語った。
決まった時期に、特定期間のエピソード記憶が消去されてしまう。
毎年5月9日になると、一年分の記憶がなくなってしまう。
事故にあった直前の記憶まで巻き戻される。何の事故かはわからないが自動車とか落下物とかアタマを強く打った事故だろう。
この病気は一昔前のギャルゲーではやたら流行した設定だ。前向性健忘というやつだ。
有名なのは「彼女の夏、15分の記憶」という作品だ。長期記憶が壊れてしまい、短期記憶しか使えない。わずか15分のラブストーリーである。
少し亜流だが、アニメでは「とある魔術の禁書目録」の主人公上条当麻が、生誕から高校1年夏休みまでの記憶が完全消去されている。これは前向性健忘ではないのだが。
「新世紀エヴァンゲリオン」でも綾波レイという登場人物が実はクローン人間であり、主人公が話かけてもまるで会話が噛み合わない。知らない。たぶん私は3人目だから。
アニメ「プラスチックメモリーズ」では人造人間の活動限界時間が決まっている。限界を超えるまでに機能停止させ、システムをリセットしなければならない。ただしリセットをすることで記憶は完全消去される。
記憶が消える恐怖。自分が自分でなくなる。
去年5月9日から今年5月8日までの「いまの自分」と、
今年5月9日から来年5月8日までの「今度の自分」は違う人間である。
早蕨美海は、たった1年の寿命を間もなく終えようとしている。
自分とはなんだろう?
人格の同一性はどのように定義されるのか。
意識は記憶の集合体なのだろうか?
それなら過去の記憶のバックアップをとった電子頭脳は同一人格なのだろうか?
老人性痴呆となった老いた母親が、中年の息子の顔すら忘れたとき、目の前にいる老婆は母親ではなくなってしまうのか? 腹を痛めて自分を産み育んでくれた女性が、記憶を失っただけで突然母親ではなくなるのだろうか?
肉体の死以外の、人格の死。
その恐怖を、タイムリミットも知ったうえで、早蕨美海は生きている。
残念ながら、早蕨美海の病気を治す医学知識を河合春人はもっていない。
また、5月9日に奇跡など起こらない。
5月9日に「いまの美海ちゃん」は消える。
これは確定した運命である。
河合春人はどうするのだろうか?