猫田にゃんの覚書き

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自分で忘れないよう知識を整理するまとめ帳

【ネタバレあり】メモオフ5(2/4)

メモオフ5 途切れたフィル厶

2/4  メインストーリー。

 

メモリーズオフ第5作 とぎれたフィルム

「5つの想いが叶うとき、とぎれたフィルムは静かに回りだす」

 

歴代メモリーズオフ作品は、初代が提示した「雨はいつ上がる?」をテーマとしている。

つらい過去を忘れるのではなく、過去を受け止めたうえで前に進むこと。

想い出を切り離す、メモリーズオフ

第5作においては、親友の死という題材となっている。

映画制作という夢を共有したかけがえの無い仲間がいなくなってしまい、誰もが前に進めなくなってしまった。

そこに親友の死の真相につながる疫病神が現れていまった。止まっていた時計が動き出し、人間関係が変化する。

 

 

第5作はメモオフ全作品のなかでは平凡で地味な作品である。最も現実的な物語であり、主人公も凡庸である。

第5作は等身大の青春群像といわれる。

親友と死に別れた仲間たちが、それぞれの立場で死の意味を受け止め、乗り越えて進む者もいれば、受け止められず変化を拒否する者もいる。その結果として、かつての仲間がバラバラの道に別れてしまうルートもある。

サブタイトルにある「5つの想い」というのは亡くなった親友と深く関わりのあった5人なのだが、5人の想いが完全に重なるルートはどこにも無い。

どのルートでも、1人や2人は脱落して仲間たちから離れてしまう。

最悪のバッドエンドでは主人公自身が孤立してしまい、仲間たちから追い出されてしまう孤独なルートだってある。

それもまた、受け止めるべき変化なのだ。

時間が動き続ける限り、人間関係も変化し続けるのだから。

 

さて、第5作の紹介だが、

ゲーム冒頭シーンは主人公河合春人がオンボロアパートへ転居する場面なのだが、そこから説明すると過去の回想となって非常に分かりにくい。

そこで解説のために、過去の出来事から時系列に沿ってゲーム冒頭シーンであるオンボロアパートへの転居につなげてみよう。

 

■小学校時代

主人公河合春人(かわいはると)は、芦鹿島電鉄の藍が丘駅近郊に実家がある。

同じ小学校にかよう日名雄介(ひなゆうすけ)とは幼馴染だ。日名雄介と河合春人は仲がよく、互いに家を往来していた。

日名雄介には容姿の整った2歳年下の妹がいて、日名あすか(ひなあすか)という。小学校のころから、日名あすかは母親のマネージメントで子役女優となっており芸能人であった。

雄介の家に遊びに行ったさいに、あすかを見かけることもあったが、特に親しいわけでもなく、会話を交わすこともなかった。


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■中学生時代

日名雄介と河合春人にとって重大な出会いがあった。近所の公園で映画撮影のロケをしていたミッキーさん(三木監督)と出会った。

ミッキーさんから映画撮影についていろいろな話を聞いて、雄介も春人もすっかり映画制作へ情熱を抱くようになったのだ。

 

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■高校生時代

綾園学院高校で、映画同好会で自主制作映画に打ち込んでいた。

日名雄介をリーダーとして集まった仲間たち。河合春人、小津修司、観島香月。

4人の仲間はいつだって昼も夜も映画、映画、映画に夢中になっていた。

 

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■高校3年冬から大学1年4月にかけて

日名雄介は、仙道麻尋と出会う。

その後、日名雄介は仙道麻尋がかかえていたトラブルに深く関わってしまう。

 

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■大学1年の4月

日名雄介、河合春人、小津修司、観島香月の4人は全員とも千羽谷大学へと進学した。

そして恩師であった故人、ミッキー監督の古巣であったCUM研に所属し、いよいよ長編映画を本格的に作ろうと燃えていた。

 

Chihaya University Movie研究同好会

略してCUM研(くむけん)。

ミッキー監督亡きあとは活動休止状態の幽霊サークルとなっていたが、サークルを辛うじて存続させていた謎の幽霊部長の尽力で、サークル棟部室もそのまま使用可能となった。

観島香月は幽霊部長と会ったことがあるようだが、河合春人や小津修司は一度も会ったことはない。

 

■大学1年の5月

その頃、日名雄介は数カ月前から交流のあった仙道麻尋のかかえるトラブルに巻き込まれていた。

日名雄介は河合春人に相談していたいことがあったのだが、あいにく春人のバイトの時間迫っておりその日は都合がつかなかった。

河合春人は明日ならゆっくり時間がとれるので、明日相談を聞こうじゃないかと約束をしたのである。

それが親友との最期の会話だった。

 

5月9日、日名雄介は命を失った。

仙道麻尋が住んでいたマンションの高層階からの転落死であった。

優秀な雄介を溺愛していた母親は、仙道麻尋のせいで自慢の息子が死んだと、通夜の臨席を許さなかった。

 

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■大学1年5月から大学2年4月まで
かつて日本中から愛された天才子役女優、日名あすかは、ある時期から芸能界を引退していた。

娘に期待していた母親は、期待を裏切られたことに失望し、あすかに冷たく当たっていた。

あすかは長い芸能界生活のせいで学校にも心を許せる友人はなく、自宅にも居場所がなかった。唯一、兄雄介だけが、あすかが会話できる人間だった。

その兄雄介も死んだ。

 

暗闇のなかで言葉を忘れた日名あすかを見て、河合春人と小津修司は、日名あすかに手を差し伸べた。

小津修司は、天才子役女優の大ファンだった。ずっと前から憧れていた。天才子役女優として接してしまった。

河合春人にとっては、ただの雄介の妹だった。だからあくまでも妹として接した。

このため河合春人が、日名あすかにとって唯一の居場所となった。

日名あすかは芸能界には戻れない。芸能界はすでに居場所ではなく、天才子役女優という肩書きもつらいだけなのだ。

ただ、妹として接してくれることが嬉しかったのだった。

日名あすかは、亡き兄雄介の友人たちの仲間に加わった。残された仲間はもう映画制作への情熱を失ってしまっていた。


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■大学2年4月

河合春人は、千羽谷大学文学部2年生となった。実家は藍が丘であり大学1年までは実家から通っていたのだが、大学2年に進級したさいに実家から離れ、千羽谷大学近郊にあるボロアパートへ引越して一人暮らしを始めた。

数年前にミッキー監督は不慮の事故で死去してしまったが、生前にミッキー監督が暮らしていたオンボロアパートは河合春人にとっては聖地であり、その憧れのオンボロアパートへと転居したわけである。

 

 

河合春人、小津修司、観島香月に加えて

日名あすか。この4人が仲間。

ささやかな日常を送る仲間だった。

 

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■日常の崩壊

丸一年止まったままの時間。穏やかな日常。

それは仙道麻尋の来襲によって壊されることになる。

雄介くんの映画を撮ろう、そう語った。


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■雄介が遺した遺作

一年前、日名雄介は仙道麻尋のかかえていたトラブルに巻き込まれていた。

そしてマンションの高層階から転落死した。

そのマンションは仙道麻尋が住んでいたマンションであった。

神奈川県警察は事故死として処理した。

事件性なし。

しかし真相はわからない。日名雄介はなぜ死んだのか? それを知る唯一の人間、

仙道麻尋は真相を語ろうとはしない。

追及しても「雄介くんが死んだのは私のせい。それ以上は言えない」と。

不審感を抱かざるを得ない。こいつが雄介を殺したのではないのか?

 

だが、日名雄介は死の直前に託していた。

試し撮りビデオを河合春人へと。

台本を仙道麻尋へと。

その託された台本をもって仙道麻尋はCUM研へと現れた。

「雄介くんと約束したから」


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■バラバラになる仲間たち

日名雄介が遺した台本。それは遺作だ。

これを撮影し映画制作をするべきか否か。

 

そのころ観島香月がたまたまキャンパスで男どもに絡まれていた新入生を助けたことで、その新入生である木瀬歩が仲間に加わった。

木瀬歩は前作第4作の藤原雅ルートで登場した、浜咲高校なぎなた部ナンバー2の美少女だ。この春に高校卒業し千羽谷大学へ入学したことになる。

木瀬歩は、日名雄介の因縁を知らない。

せっかくやから映画制作をやってみたい、と言う。

 

観島香月は、冷静な判断をする。

仙道麻尋にたいする悪感情と、映画制作すべきかどうか、とは分けて扱うべきだ。

雄介の死の真相をけっして語らない以上、仙道麻尋には何か都合の悪い事情があり、隠さなければならないという事になる。

登場時期もおかしい。雄介の死の直後ではなく、雄介の命日が迫った一年後になってからわざわざ現れた。不自然極まりない。

仙道麻尋は信用できない。

だが、雄介が遺した台本をこのまま無駄にして良いのか?

観島香月は、高校時代からサブリーダー的存在であった。

日名雄介がカリスマリーダー、河合春人はどこか抜けていて近視眼の直情型、小津修司は自己主張の弱い従属型。このため不足している部分は観島香月がフォローしていた。

観島香月が最優先することは仲間の存続。

仲間の結束を維持するためなら、雄介の遺作を破棄して映画を撮影しないこと、も選択肢ではある。

だが丸一年も雄介の死を引きずって映画制作から目を背ける現状が良いとも思っていない。そろそろ前に進んでも良いのではないだろうか?

 

小津修司は一貫して反対である。

もしも雄介が遺した台本を別のかたちで入手していたなら、進んで協力していたはずの修司である。修司にも映画制作へかける情熱は熱いものがあった。

しかし台本はよりによって仙道麻尋がもたらしたものだ。日名あすかの感情を慮れば、とても承服はできない。

 

河合春人は、どうすべきなのだろうか?

河合春人は、どうしたいのだろうか?

 


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